【セレッソ】クルピの下で輝いた乾、輝かなかった楠神・村田。その違い。
2月14日をもって、セレッソは宮崎キャンプを終了しましたね。開幕戦のチケットも販売されて、いよいよ今シーズンも始まるか!といった所になってきてます。
個人的にクルピの監督就任後は、クルピの事を振り返る時間が多かったです。過去の就任期間が長いのもあって色々と思う所もあり、以前の記事にも少しその思う所を書きました。
上記の記事も長々と書いてますが、実は書きたかった内容の30%位しか書いてなく、まだまだ書き足らない感じでした(笑)それほど、クルピについて振り返られることって多いんですよね。今回の記事は、その続きと言ったところでしょうか。
[土塔えんじ:ご覧の提供でお送りします]
今回、クルピが好む選手(オフェンス)について、考察したいと思います。
クルピの下での野洲高3人。
クルピの過去を振り返ると、固定メンバーで戦う傾向が強い印象です。固定したメンバーは、調子落ちしても使う。
だから、使われる選手はどんどん経験を積むことができ、成長するチャンスを得続けます。香川や乾、清武、南野。家長やキム・ボギョン、曜一朗にも言えるかと思いますが、クルピの元から海外に羽ばたいていきました。本当に多くの選手を育て上げたと言えると思っていますし、少なくとも、その度量の大きさには驚かされます。
その半面、クルピの元で期待され、要所で使われていたものの輝けなかった選手もまた多くいます。クルピのやり方に賛否あるかと思いますが、個人的には『輝けなかったのにも理由はある』と考えています。今回、その辺りの比較として野洲高校出身の3人、乾と楠神・村田を比較・検討していこうと思います。昔を掘り起こす形でやり玉に挙げてしまう楠神・村田の2人には、少し申し訳ない気もありますが(苦笑)
セレサポの皆様方も、各々で『推し』の選手が居ると思います。その選手がリーグ戦で使われるか?という所は、気になる所でもあると思います。そこで、あくまで僕の視点・見解ですが、読んで頂いた方にクルピが好む選手の目安の参考になれば・・と思います。
乾と楠神、その違い
同じ野洲高校、そして乾に『自分より上手い』と言われ続けていた楠神。
そんな楠神が、セレッソに入団したのが2013年。3期目のクルピ体制の時です。首脳陣の期待も大きかったであろう、移籍早々の10番。2010年の香川から、乾、清武と1年毎に移籍していた状況もあって、楠神にその穴埋め、或いは後継者的な期待していたセレサポの方も多かったんではないでしょうか?
そんな期待された楠神でしたが、クルピ体制の2013年のセレッソでの成績は、24試合0得点(クルピが去った翌年の2014年26試合1得点)。この2013年に大活躍した南野拓実とは対照的に、目立った活躍はありませんでした。いったい何故?というところ。
この辺り、僕の記憶の中でですが、乾との違いを紐解いていきます。
乾と楠神の違い
個人的に、ほとんどセレッソの試合しか見ないので、その他のチームに所属した時の楠神をほぼ知りません。ですので、セレッソに入団してからの話になりますが、楠神のドリブルのテクニックは乾とほぼ同等レベルのモノがあったと感じてました。むしろ、乾が言うように、乾より上手いのでは?と感じることもありました。
でも、乾と決定的に違っていたのもあって、それは、
ドリブルを仕掛けるポジショニング
でした。もう少し言えば、仕掛ける前の『ボールをもらう位置』とも言えるかも知れません。
乾がドリブルを仕掛けるポジショニング
乾が(ボールを前に運ぶドリブルではなく)仕掛けるドリブルを開始する位置は、以下のようなところ。
ボランチとCBの間という所ですね。ここでボールを受けて、1人抜けばシュートが打てる位置が多かったです。
楠神のドリブルを仕掛けるポジショニング
この乾に対して、楠神は以下のようなところが多かったです。
ボランチの外ですよね。ここからの仕掛けだと、少なくとも2人抜かないとシュートまでいけない。
楠神自身、ドリブルのテクニックは最上級なモノがあるので、2人抜くことが出来てました。ただ、肝心のシュートの場面でヘナヘナになってました(苦笑)2人を抜いてスタジアムを沸かせるもシュートで落胆させる・・・みたいな楠神のシーン、記憶にないでしょうか(苦笑)?
多分、2人抜いてシュートをビシッと決められるのは、メッシやクリ・ロナレベルのワールドクラスだと思うんですよね。可能性の話を言うと不可能ではないですが、Jリーグレベルだとさすがにそこまではしんどいですよね。
もう1つ、乾にあって楠神になかったもの。
そういう意味で、『ドリブルを仕掛ける位置』=『その為のボールをもらう位置』と言うのは、とても重要なんだな~と、当時、楠神を見てて感じてました。
加えて、それを実現させるために、もう1つ。
前を向いてボールを受ける技術
ドリブルを仕掛ける際の乾のポジショニングが正解とするなら、この『前を向いてボールを受ける技術』というのもかなり重要な要素になってくると考えてます。
ここで注意頂きたいのが、『ボールを受けて前を向く』ではなく『前を向いてボールを受ける』です。
ボランチとCBの間のポジションは、相手チームからして絶対に侵入されたくないエリア。その為、プレッシャーも相当きつくなる。そこでドリブル(やスルーパス)を仕掛ける為には、そのプレッシャーの中で前を向いてボールを受けないといけない。
後ろ向きにボールを受けると、次のプレーがバックパス、良くてもポストプレーしかできないですからね。そうなると、相手も読みやすいし怖さを感じない。
僕が見た限りですが、楠神がこのエリアで前向きにボールを受けたのはセレッソ在籍2年でたった1回だけでした。その1回はスタジアムで見たのですが、『(楠神の)そのプレーを待ってたんや!』と叫んだ記憶があります(笑)ただ、残念ながら、楠神に関しては本当にこの時の1回だけでしたね。
このプレー、海外に羽ばたいた香川・乾・清武・曜一朗・南野らは全員上手かったんです。曜一朗に関しては、更にスペースがないCB間のわずかなスペースでやってましたし。逆に言えば、楠神はテクニックはあるのだから、前を向ける状況判断が出来てなくてこのプレーがなかなか出せなかったのかな?と推測しています。
ボランチの外まで行けば相手のプレッシャーも緩むから、楠神も前を向けてドリブルを仕掛けられる。ただ、ゴールを奪いきるまでは至らない。そんな所が、楠神が輝けなかった理由ではないかな?と個人的に思っています。(とはいえ、相手に引かれた時に、楠神のドリブルは相手の陣形を崩すのに有効だとは思ってました。)
個人的な想像ですが、こういう所をクルピは見てるんだとも思ってます。
乾と村田の違い
村田和哉は、2011年にセレッソに入団。村田もまた野洲ブランド(乾と同期)なので、ドリブルテクニックは期待できる。2011年7月までは、乾もセレッソに在籍してましたから、3シャドーの一角として野洲コンビを期待されていました。
そんな村田も、レヴィー・セレッソでの出場記録は、2011年:6試合1得点。2012年 (前半はソアレスでしたが):13試合1得点。もう一つ、パッとしない成績でした。2012年の最後の方は、ほとんど出番もなかったんではないかな?と思います。
個人的な見解ですが、楠神同様に村田にも輝けなかったのには理由はあったという印象です。その辺りを乾との比較で説明していきたいかと思います。
村田はボールの受け方は良かった印象。
個人的な見解としては、楠神よりボールを受ける位置は良かったと思います。
乾よりは少し外目な印象でしたが、昨年のロティーナ戦術的に言うとインサイドレーンという言い方になりますでしょうか。相手DF陣からすると、なかなか嫌らしいと感じるポジション。結構、このエリアでボールを受ける姿勢は村田には見受けられました。
では、どこに問題があったか?それは、ボールを受けた後・・・です。
[土塔えんじ:いったん、CMです]
どこに仕掛けるか?
村田自身がとてもスピードのある選手で、どちらかと言うとウイングとかサイドアタッカー的な動きをしようとしていた印象があります。そういう思考があった為かドリブルを仕掛ける時、『外へ、外へ』と逃げていくようなドリブルに終始してた印象でした。
更に言うと、そこでボールを受けて、その更に外のサイドバックへパスを出すプレーを選択する場面も見受けられました。一見、もっともらしい選択ではあるのですが、ゴールから逆算すると、その後にクロスを入れてFWが点を決めるという手順を踏まないといけないですよね。
簡単に言ってしまえば、村田の仕掛けはゴールに直結しないプレーを選択していた印象です。
当時の僕の週末のおおよその予定は、土曜日:トップチームの観戦、日曜日:サテライト観戦@南津守となってましてw、サテライトで村田が出てるのもよく見ましたが、トップチームの試合からは強度が落ちるサテライトの試合でも、村田はこのようなプレーが多かったと記憶してます。
逆に、乾は相手CBに仕掛けてました。
ボールを受けた時点で、自身とゴールとの間には、GKを除けば相手CBしかいない。CBを抜く、或いは半身だけズラしてシュートを打つ。そういった選択肢を、まず第一に持ってた印象でした。
セレッソに居た時の香川が代表的ですが、『まず、自分がシュートを打つ』ありきを選択する選手(打てない状況になって、初めてパスを選択する)。クルピは、そういう選手が好きそうだと感じてます。結局は、それがゴールに直結するという思想だと思います。外国人選手的な思想とでも言いますか。
その視点で、村田は悪い意味(?)でも日本人的ではあったかな?と思います。
クルピのお眼鏡にかなう?期待する選手。
ここまで書いてきました通り、クルピがどのような選手(特にオフェンス)が好きか?と言う部分は、クルピのサッカーを振り返りながら個人的には整理できて来ています。
- 前を向いてボールを受ける技術を持っている選手
- あくまでシュートを打つありきでプレーを選択できる選手
細かいことを挙げると、まだまだ色々あったりはするのですが、概ねこんな所だと思います。
この2項目から、個人的に期待している選手は2名。
- 豊川 雄太
- 藤尾 翔太
ですです(笑)豊川に関しては、既に練習試合で結果を見せ始めてますね。
この辺、過去記事で2人を取り上げたことがあります。また、お時間が許すようであれば読んでやってください。まずは、豊川の記事。ロティーナ・セレッソで、PKを貰えるとすれば・・・という視点です。
ここでも書いた通り、個人的には豊川は前を向ける選手と思ってます。 ロティーナの時もそうでしたが、クルピ政権で大いに期待したい選手。
余談ですが、少し自分でも上の記事を読み返しましたが、今回の書いている記事と趣旨がほぼ一緒でした・・・(苦笑)そういう意味では、今年はPKは増えると思ってます(笑)
でもって、藤尾のこと(少しだけですが)を書いた記事。
藤尾はU-23のプレーも多く見ましたが、『あくまで自分がシュートを打つ』ありきでプレーしているのが分かりました。ちなみに、僕自身もこういう『あくまで自分が・・・』な選手が大好きで、藤尾は身体的な強さも含め、本当に期待したい選手ですね。
選手主導のチームなら『選手』を見る。
お読み頂いた方で、楠神・村田ファンの方が居られたら最後に謝ります。この2人に関しては、昔を掘り起こしてまでかなり辛辣な内容を書いたと自覚はしてます(苦笑)すみません。
ただ、個人的な考えとして、クルピのサッカーが選手主導であるなら、そのサッカーを見る側も『選手を厳しく見るべき』だと思っています。以前のクルピ政権時も個人的にはそうしていて、今回の昔を掘り起こす形で楠神・村田をやり玉に挙げてしまいました(苦笑)
少なくともクルピが監督に戻った今季、僕はそのようなサッカーの見方を再びしようと思っています。だから、今期も観戦記は書こうと思っていますが、選手の良し悪しを中心に書いて行こうと思ってます。まあ、できる限り、選手の良かった部分を中心にしたいとは思っていますが、たまに辛辣に書いてしまうかも(苦笑)
そんな内容になっていくと思いますが、今後ともお付き合い頂ければと思います。
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