【セレッソ】浦和戦:小菊セレッソFWの守備の役割

セレッソ 1-0 浦和

2021.10.10 @ヨドコウ桜スタジアム(ルヴァン準決勝 第2戦)

激勝!!!! 2戦トータル 2-1で決勝進出!!!!

素晴らしかったですね~!!!本当に、息の詰まる熱戦だったかと。試合終了後の安堵感が凄かったです。リアルに、手に汗をかいてました(笑)

何度か書いてますが、こういう試合の後のレヴューは、正直どうでも良いかな?と感じます。ご託抜きで喜ぶべきでしょうからね(笑)そして、そう書くたびに書いてますが、普段、レヴューを書いている僕がこれを言うと元も子もないのでw しっかりと、振り返りたいかと思います。

[土塔えんじ:ご覧の提供でお送りします]

試合内容・雑感

●勝負を分けた右サイドの修正

個人的な見立てで、勝負を分けたポイントは右サイドが修正されていたことということになりますか。

第1戦目の失点シーンは、右サイドを崩されたモノでした。

坂元と陸の間の大外のレーンから、ハーフスペース、あるいはセンターを狙われるという形。

1戦目の失点シーンの浦和が狙った場所

第1戦はハイライトしか見てないので、ここの対応を通常どうしてたか?というところが分からないので何とも言えませんが、少なくとも失点シーンはこの大外レーンで起点を作られての失点と言う形でした。

迎えたこの第2戦、ここをどう対応してくるのかな?と注目してました。見ていて、キチっと修正されてた印象でしたね。その辺を、少し掘り下げます。

浦和の選手が、ハーフウェイライン付近の右寄りでボールを持った時の場面です。ボールを持った浦和の選手は、ここから、件の坂元・陸の間の大外レーンの選手にパスを出そうとします。

ここで、小菊セレッソが取った対応のポイントが3つあります。

  • 陸の対応
  • 坂元とボランチ(奧埜)の対応
  • 西尾のカバーリング

まず、ポイントの1つめが陸の対応

相手がパスを出そうとした瞬間、陸は大外レーンの選手にチェックに行き、パスを出させない形を取ります。それを見たボールホルダーの選手は、その選手にパスは出せません。ただ、当然ですが陸が外に出ることで、西尾―陸の間のハーフスペースが空いてきます。定石で言うと、陸がチェックに行ったことで、そこは狙い目にされるところです。

陸は前に出る。陸の出たスペースが狙い目。

このハーフスペースのエリアを狙う攻防が、この試合、キーになっていた印象です。当然、陸が空けたハーフスペースに浦和の選手は入ってくるので、ボールホルダーがそこに縦パスを通せば、大外を経由せずとも狙い通りの所にボールを運べてしまいます

それを防ぐ為に、登場するのが坂元とボランチ(奧埜)

前後半で、奧埜と原川が立ち位置が入れ替わってたかな?と思うのですが、ここでは奧埜で説明します。相手がパスを出そうとした際、陸が大外レーンの選手にマークにいくのと同時に坂元と奧埜のポジショニングが急激に近づくんですよね。こうすることで、浦和の狙い目となるハーフスペースへのパスコースを締めてました

狙い目となるハーフスペースは、坂元・奧埜でパスコースを締める

これ、個人的に凄い上手い対応だな~と感じてました。J1レベルの選手だと、判断も早いし技術もある。それを逆手に取って、パスコースを締めることで縦パスを出すのを諦めさせる・・・という感じになってました。とても、面白い形ですよね。

そして、最後は西尾の登場

西尾は、ハーフスペースに侵入する浦和の選手を常に監視してました。ボールが出てくることはあまりなかったですが、念のためのカバーリングですよね。

西尾はカバーリング

このような形で、1戦目にやられた相手の崩しに対して、上手い対応をしてるな~と感じてました。当然、浦和の選手もやり方を変えてきたりしてましたが、セレッソも必要に応じて人に付く形に変更して抑えたり、柔軟に対応できてたと思います。

本当、この短期間で上手く整理・準備したな~と感じました。この試合にかける思いが、こういう所でも伝わってきてました。

●加藤のゴール!!!!

前節のクロスバーに当てまくってた加藤、それだけにこのゴールは嬉しかったですね!

試合後のコメントを見る限り、共通認識としてあったとのこと。

共通認識としてクロスに対してGKの前に入ること。

https://www.cerezo.jp/matches/2021-10-10/

決まり事だったようですね。

また、クルピ政権時(特に2-3期)に見かけた多く見た決まり事でもありますよね。アーリークロスに対しては、ニアサイドで合わせる。当時、これが徹底されていました。今年、当初はクルピが率いてたことを考えると、少しノスタルジックに浸れるゴールだったな~とも思います。

これは後述するのですが、小菊セレッソになってからFWの役割がめちゃめちゃ増えてる印象で、そんな中で取った加藤のゴール。しかも、ルヴァン決勝進出を決めるゴールになった。これは、非常に価値のあるゴールだったと思います。

決勝も期待してるよ!!!

●鬼気迫る坂元

この試合のMVPを挙げるなら、多くの人が加藤を挙げると思います。ゴール、前線での献身性、とても素晴らしい活躍だったと思いますし、異論はありません。

でも、個人的には坂元をMVPに挙げたいです

試合を通じて、ボールを持った際にロストらいしロストをしてなかったですよね?それ故に、ビルドアップ時にボールを前に運ぶ一番の原動力になった。加藤がオーバーヘッド気味にシュートを打ったシーンとかでも、本来の切り込む役目も果たしていた。

そして、試合終了間際の浦和GKのパスをカットしたりとか・・・凄くなかったですか?坂元は、鬼気迫る活躍を見せてくれたと思います。そして、素晴らしかったとも。

加藤もそうですが、坂元も決勝での爆発に期待したいですね。

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そんな所で本題。

小菊セレッソに変わってから、加藤・山田の活躍が目につきます。このルヴァン浦和戦のように、若手FWが躍動するのはセレサポにとっても嬉しい所ですよね。

個人的に見ていて、タガートや嘉人も含めて、『FW、めっちゃ頑張ってるな~』と思ってみてます。そこで今回、小菊セレッソのFWの奮闘ぶりを取り上げようと思います。少し前から書きたい題材でありましたが、ここでようやく(笑)今回は、特に守備面の所を挙げたいと。

でもって、少しこのブログでは珍しい(?)システム論的な所の話に入っていこうかと思います。

[土塔えんじ:いったん、CMです]

小菊セレッソのFWの役割(守備)

前述してますが、小菊セレッソに変わってから加藤・山田等、FWの躍動が目につきます。裏を返すと、FWの役割が極端に増えている・・・という事になるかと思います。故に、目立つ・・・という所。

小菊さん監督就任時、

ハードワークをしない選手は使わない

という旨を話されてましたが、どうもそのハードワークが1番求められているのは、FWという事になりそうな印象です。

そんな小菊セレッソのFWの役割について、詳細に見て行こうかと思いますが、その前に小菊セレッソの基本陣形について簡単に触れておこうと思います。

小菊セレッソの基本的な布陣は、周知のとおり、4-4-2ですよね。その4-4-2における弱点がこのメイン記事で書く内容の前提になりますので、そこから入っていきます。

4-4-2の弱点 Part.1

4-4-2で、一般的に弱点と言われている所が以下の3ヶ所。

4-4-2の一般的な弱点

所謂、エリアのどっちつかずな所、人と人の間という所ですよね。

特に、①のエリアは最重要に警戒する所であるのは間違いないですよね。ゴール前のエリアで、ここでボールを持って前を向かれることは、失点に繋がるリスクが高くなるのは分かり切ったところです。故に、4-4-2を採用するチームは、この①のエリアを空けることは試合を通じてほとんどない・・・と考えます。

そうなると、②のエリア、③のエリアが次の狙い目になってきます。

①のエリアと比べると守備側の優先度は下がりますが、それでも侵入を許すと怖い②と③のエリア。ここも、どうにかしてボールを入れられるのを防ぎたいのが守備側の意識です。ただ、相手も手を変え品を変えて攻略してきます。①のエリアより、攻略はし易いですからね。

今回の1戦目で、浦和に大外レーンを使われて、③のエリアを攻略されたのがそんな感じでしたよね。直接的な失点にもつながるようなエリアで、警戒すべきところであるのも間違いない所です。

このように、4-4-2の弱点は簡単に言うと、DFラインとMFラインの間という事になるのかな?と思います。そして、実は4-4-2には①~③のエリア以外でも侵入を許すと痛い所があります。

4-4-2の弱点 Part.2

4-4-2のブロックを組んだ際、上で挙げた①~③の危険エリアを警戒する為、できるだけ人と人の間を間延びさせずに、人を密にしてブロックを組みます。こうすることで、危険エリアを狭めることができます。

ただ、ブロックを密にしてしまうと、フィールドの横(ゴールライン)方向に対してブロックが狭まり、ボールと反対サイドは空いてきます。

蜜にしたブロックの反対が空く

この場合、相手のパスワークの横の揺さぶりに対して、ブロックを横にスライドさせる形で対応するのが一般的な対応。そして、当然ですが、スライドの速さが鍵になってきます。相手の横の揺さぶりに対してスライドが遅ければ、反対サイドで起点を作られる形になります。

つまり、

●攻撃側: 

守備ブロックのスライドより早くサイドに展開したい。

●守備側:

相手の横の揺さぶりより早く、守備ブロックをスライドさせる。

ことが重要になってきますよね。実は、ここに4-4-2の弱点が潜んでいます。

具体的な例を挙げます。以下の水色のコース、FWとボランチの中間を通される場合を考えます。

攻撃側からすると、反対サイドに振る場合は相手のスライドより早くボールを回したい。そこを前提に上の図を見ると、 直感的に黒色のコースを通るより水色のコースの方が早いのは間違いないですよね。

そして、さらっと書きましたが実はこの水色のコース、4-4-2を相手にした時に、サイドチェンジを行う際にもっとも有効な手だとも考えることができます。逆に言えば、4-4-2のブロックを組んだ守備側からすると、このコースのサイドチェンジが一番厄介です。

ここで、1つの疑問を持たれる方もいるかも知れません。それは、大きく一発でサイドチェンジした方が一番速くブロックを揺さぶれるのではないか?というところ。

単純な速さで言うと、そうなるかも知れません。ただ、少し思い出してみてください。4-4-2で一番警戒しないといけないエリアはどこか?という所。

そう、①のエリアですよね。

水色のパスコースを通された場合、①のエリアのすぐ前で起点を作られることになります。そこを起点にされると、①のエリアに簡単にボールを入れられる可能性が出てきます

①のエリアにボールを落とされる可能性がある。

だいぶ前置きが長くなってしまいましたが(苦笑)4-4-2の弱点として、以下の④のエリアも実は弱点と言える・・・ということになります。

④のエリア

④のエリアで起点を作られると、ボランチ2人は、まず①のエリアへのパスコースを締めざる終えません。チーム全体も、それと連動して内向きに締める方向に意識が働くことになりますが、そこで外へサイドチェンジのパスを出されると、内向きに締める意識と反対方向のボールを出されることになります。

それは即ち、横のスライドが間に合わなくなり反対サイドに起点を作られるというところに繋がてしまいます。

①~③のエリアは直接的、④のエリアは間接的なイメージです。が、4-4-2を組むチームは間違いなく、④のエリアも締めないといけない所です。

小菊セレッソのFWの役割

かなり長い前置きになりましたが(苦笑)、小菊セレッソで採用してるのが4-4-2。

そして、上記で挙げた4-4-2の弱点:①~④のエリアに蓋をしているのがFWです。

相手DFラインが右でボールを持った際、2トップの片方が③のエリアに蓋をしながらプレスを行ったりしてます。

この時、もう片方のFWは真ん中の④のエリアに居る相手ボランチをマーク。結果的に、①のエリアを蓋するポジショニングになってます。

反対方向にボールが回ると、FWもスライドして役割が変わります。上図で言うと、山田が④のエリアにマーク(及び①のエリアの蓋)に入り、加藤が②のエリアを蓋をしながらプレスに行く・・という形になります。

対応としては、特に珍しいものではありません。ロティーナの時も、クルピの時もFWはやってる対応ではありました。ただ、小菊セレッソでは本当に試合終盤まで、息切れするまで手を抜かずに愚直にやり続けてます。危険エリア(あるいはパスコース)をフォローしながら掛けるプレスとか、神経を細かくしてやってくれてます。

これは加藤・山田だけでなく、タガートも嘉人もそうです。今日、試合終盤でFWの位置に入った清武(おかえり!)もずっと続けてました。

(逆に言うと、西川潤はこの対応がものすごく緩い・・・(苦笑))

今日の試合、浦和は恐らくはパワープレー要因で槙野を前線に入れたと思います。ただ、槙野がボールに絡む機会と言うのはほとんどなかったですよね。

浦和からすると、前線にロングボールを供給するのも、DFラインからだと距離が遠くなって精度が出ない(セレッソのFWのプレスで、余裕をもって蹴らせる時間を作れない側面もありました)。何とかMFラインからボールを供給したいが、セレッソのFWに要所を抑えられている。つまり、相手の精度の高いロングボールを防いでいたのも、間接的にはセレッソのFW陣だというところ。

そういう意味で、相手の出だしを潰すFWの活躍は素晴らしかったかな?と思います。本当、今日の試合における山田・加藤の活躍には拍手を送りたいですね。

今後の期待を込めて

小菊セレッソのFWは、これらの守備タスクを愚直に実行した上で、

  • ロングボールの競り合い
  • ビルドアップ時の起点作り(センター、SB裏)
  • ゴール前に入ってシュートを打つ

等々、ボール保持時の攻撃も先頭に立ってやってる訳です。

ハッキリ言ってしまうと、FWのタスクはかなり多い。そして、それは、

小菊セレッソの生命線

ということも間違いないです。

上で、この記事は『少し前から書きたい題材』としたのですが、実はネガティブな内容で書こうとしてました。チームが調子を落としていた時、FWが決めきれなかったシーンを散見しましたよね。その要因として、『FWのタスクが多すぎるので、肝心のシュートシーンで余力がない・・・』というような趣旨でした。

でも、今日は加藤が決めてくれました。だから、同じ内容でもポジティブに書くことが出来ました。そこも、加藤に感謝したい所ですね(笑)

多くのタスクをこなした上で、結果も出す。FWとしては、最高の形になるかも知れません。そういった視点で、若手FWの成長を見てみたい気もしてきました。

何度も書きますが、嘉人やタガートも含めて、FW陣の活躍が小菊セレッソの生命線だと思います。自覚をもって、頑張って欲しいなと思います。

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