【セレッソ】大熊清の功罪を考える。

2019年12月、セレッソの大熊清 チーム統括部長の契約満了のニュースがありましたね。大熊さんは、2014年12月からの丸5年間、セレッソに尽力してくれたことになります。

 
 

大熊さんが残してくれた実績というのは後述しますが、過去のセレッソに無かった大きなモノ。半面、個人的な感想を言わして頂くのであれば、失ったモノもまた大きく

 
 

大熊清の何が良くて、何が良くなかったか?個人的な視点をまとめていきたいかと思います。

 

[土塔えんじ:ご覧の提供でお送りします]

 

個人的な大熊清の印象

前置きとして、個人的な大熊さんの印象を書いていきます。

 
 

セレッソ入団前の印象

大熊さんの存在を初めて認識したのが、2005年のU-20W杯時の監督として。

 
 

テレビで見たオランダ戦。この試合、最近に引退のニュースが流れたクインシー中心に、日本はオランダにがっつりやられていました。唯一、通用していたのが家長昭博やったんですね。『家長起点なら、何かが起こせそうやな?』と思っていた試合終盤、大熊さんが動く。

 

家長 out  → 苔口 in 

 

これ、本当に悪手でした(苦笑)当時セレッソ所属だった苔口なので試合に出たのは嬉しかったのですが、家長引っ込める方に驚いてそれどころではなかった(苦笑)試合も、そのまま何も起こらずの敗戦でしたし。

大熊、無能やな・・・

これが、僕の大熊さんに対する1stインプレッション(苦笑)つまり、第一印象は最悪でした。

 
 

セレッソ時代の大熊清

セレサポにとって、あまり思い出したくもない2014年(苦笑)言わずもがな、J2降格。

 
 

そんな中での、大熊清セレッソ強化部就任のニュース、、、個人的には更に最悪な印象でした(苦笑)あの無能だと思った人が来るのか・・・そんな感じでした。ただ、直前の大宮での監督業は失敗に終わったものの、FC東京での実績はそれなりのもの。そこに期待する面もありました。

 
 

その期待通り?か、大熊さんのセレッソでの実績はご覧の通り。

 
  • 2015年: (強化部長→監督)プレーオフ決勝進出も、J1昇格を逃す
  • 2016年: (監督)2位以内を逃すも、プレーオフでJ1昇格
  • 2017年: (強化部長)初タイトルルヴァン杯制覇! J1リーグ3位! 天皇杯制覇
  • 2018年: (強化部長)J1リーグ7位。ACL予選リーグ敗退。
  • 2019年: (強化部長)J1リーグ5位。
 

実績面で見ると、最後2年はどちらかと言うと無風な感じですが、2017年にはクラブ史上初となるタイトルを奪取!この輝かしい功績は、クラブの歴史として間違いなく刻まれます。素晴らしい!

 
 

でもって、前置きが長くなりましたが、大熊さんの功罪について考えていきたいと思います。

 

[土塔えんじ:いったん、CMです]

 

大熊さんの“罪過”

悪い方を後出しすると、心象が悪くなるので悪い方から先に片付けます。僕が考える、セレッソでの大熊さんの最大の罪は、

山口蛍、扇原貴宏、杉本健勇のセレッソ退団

これに尽きると思います。健勇は入れるか悩んだけど(苦笑)ユース卒業生で、日本代表を経験した3人の退団。セレッソの屋台骨が、一気に抜けた感じを受けたセレサポの方も多かったと思います。

 
 

僕自身、『その時、セレッソに居る選手を応援する』という応援スタイルを取っていて、選手の流動にはそれ程感情が動く方ではないのですが、とりわけ蛍の退団は大きな衝撃でした(苦笑)後4-5年は、ボランチには悩まないと思っていましたしね。

 
 

退団の経緯、時系列で順番に見ていきます。

 
 

扇原のセレッソ退団の経緯(妄想です)

2013年、セレッソはクルピ監督の元、大きな躍進を遂げました。その時のチームの中心が、セレッソU-18出身選手であったことも誇らしかったと思います。

 
 

曜一朗、蛍、タカ、健勇、丸橋、拓実、、、今見ても凄いメンツですね(笑)その中でも、ボランチを組んだ2人:蛍・タカのコンビは、20代前半という年齢で代表にも選ばれ、ワクワクしていました。

 
 

ちなみに、この2人の関係性の特徴、覚えていますか?

 
 

クルピ時代の蛍・タカ

今はなくなりましたが、当時の長居スタジアム(まだヤンマースタジアムではなかった)にFM NAGAIという放送がありました。スタジアムDJ西川くんのセレッソ偏向試合実況wとゲストにセレッソOBとかが来て実況・解説をしてくれるという楽しい企画。

 
 

ある試合で、セレッソOB原信生がFM NAGAIの解説に来て、元ボランチならではの視点で蛍・タカのコンビを解説してくれています

原信生:

セレッソの心臓は、蛍・タカの2人。セレッソがボールを保持している時に、この2人が縦の関係を築けていればセレッソは好調。(逆に、横関係だと上手く行ってない)

これ、今も僕がサッカーを見る上で注視している所だったりします。当時、この関係性を意識してみていると、本当にそうだったんですね。

 
 

この時、2人の縦関係、多くは以下の関係性でした。

  • 前: 蛍
  • 後: タカ

蛍は守備面での強みを言われることが多かったですが、ボックス・トゥ・ボックスでアップダウンを無尽蔵にできるスタミナに大きな強みがあると思っています。セレッソU18では10番。攻撃の能力も持ち合わせています。

 
 

また、扇原はご存知の方も多いと思いますが、ロング・ミドルパスが秀逸。しかも、バックスピンをかけられるので、バウンドするとボールが止まるのですよね。このロング・ミドルが、曜一朗との相性抜群!

 
 

そんな2人なので、『前:蛍』『後:タカ』の関係性も抜群。クルピの慧眼といったところでしょうか。本当に見ていてワクワクしてました。

 
 

で、この2人の関係性を崩したのが、大熊さん・・・と個人的には思っています。

 
 

大熊時代の蛍・タカ、そしてタカの移籍・・・

2015-16年頃、J2降格・J1昇格失敗というチーム状況の中、タカはチームに残ってくれました。でも、僕の見た目上、タカの扱いは酷い印象を受けてました。

 
 

2015年 蛍・タカのコンビは健在でしたが、縦の関係性が変わってました。

  • 前:タカ
  • 後:蛍

クルピ時代と真逆、正直、目を疑いました(苦笑)アウトゥオリの采配と言えばそうなんですが、推測でセレッソ強化部内で蛍への忖度があったのでは?と思っていたりします。

 
 

この頃、J2在籍にも拘らず、蛍は日本代表に選出されていました。でもって、ポジションは後ボランチ。J2に落ちているセレッソにとって、日本代表選手はチーム強化の上でも営業面でも貴重な存在。蛍を日本代表に選ばれ易くする為、蛍を代表と同じポジションで使っていたのでは?邪推ですが、そう思ってました。

 
 

前ボランチに回されたタカは、それでも獅子奮迅してました。が、前への突進力は蛍の方が上。タカでは少し見劣りしてしまう・・・そんな印象を感じました。そんな翌2016年・・・

ソウザ、山村のセレッソ加入

大熊監督で迎えた2016年、蛍がハノーファー移籍。その蛍の後釜として、後ボランチ:山村が加入。多分、前ボランチとしてタカは見劣りしてみてたのであろう大熊さん、前ボランチ:ソウザを獲得。その後、蛍が半年で戻ってきて、後ボランチとして起用される。そうなると、更にタカの優先順位が低くなり・・・

 
 

名古屋グランパス移籍

 
 

僕が想像しているタカの移籍は、チーム内(大熊さん)の蛍への忖度から始まった・・・と思っています。まあ、妄想ですけど(苦笑)

 
 

蛍のセレッソ退団の経緯(妄想です)

蛍がセレッソを退団した時に、ネットニュースで流れた蛍のコメントの一部です。


自分が出ることを、色んな人が重く受け止めて欲しい

(苦笑)

 

単純に、『イニエスタとサッカーが出来る。その上で給料も上がる』という理由だとは思ってるのですが、一度、重く受け止めてみます(苦笑)

 
 

個人的には、蛍がサッカーをやる上で一番したいのは『守備も、攻撃も』なんではないかな?と推測しています。

 
 

2019年の神戸は、サンペールがアンカー、蛍がインサイドハーフになってから好調に転じました。少し形は違いますが、前述の2013年頃の蛍・タカの関係性に似ていますよね。MFとして守備も攻撃も行えるようなポジション、そこが蛍の最適解なんだろうと。そして、やりたい事なんだろうと。

 
 

ただ、大熊政権下でのセレッソ時代は、守備に忙殺させられてる印象でした。前述の通り、チームから忖度(僕の妄想w)まで受けて・・・

 
 

セレッソに復帰した2016年夏以降では、ソウザと言う前ボランチの暴れ馬の手綱も任され(苦笑)更に守備に忙殺され、自分のやりたいことが出来ず、自分の役割だけをこなしてチームに貢献する形になっていたのではないかな?と感じてます。

 
 

その上で、敬愛するユン監督の解任・・・うっぷんが爆発したのかな?と、大熊さんの取ってきたチームの舵取りを振り返ると、蛍についてはどうしてもこういう結論になってしまう印象です。

 
 

もう一度、自分のやりたい事をやりたい欲求に駆られ、それ故の退団だったのでは?と。

 
 

健勇の移籍について・・・

健勇は、まあ、いいかw キャラクター的に、誰がどうであっても移籍していたような気がしますね。

 
 

大熊さんの“功”

ようやっと良い方(笑)タイトル獲得は勿論ですが、それ以外について見ていこうと思います。

 
 

人望・コネクションから有力選手を獲得した。

チーム内部の人たちから出てくる大熊評の多くのコメントは、『人間力の高さ』ですよね。この記事を書くにあたって、WikiPediaの大熊さんを調べてみると、代表コーチ時代は、オシムさんからも評価されていたとあり驚き(笑)

 
 

多分ですが、

この人と一緒に仕事をしたい!

と思わせるような人なんだろうな、というのは容易に想像がつきます。

 
 

多分、一般の人たちもそうだと思うのですが、こういう人の元には多くの人が集まります。セレッソ時代の大熊さんの選手獲得には、ネームヴァリュー、実績共に文句のない選手が多く集まりました。

  • 玉田
  • 関口
  • 橋本
  • 田代
  • ソウザ
  • 奥埜
  • 藤田
  • 都倉

でもって、最大の収穫が、松田陸。セレッソ不動の右サイド:シャケ越えを果たした選手。FC東京からなので、多分に大熊さんの影響があったものだと思います。

 
 

海外組の逆輸入

2020年シーズン、豊川、小池、、島村もそうなるかな?と言った海外移籍からの出戻り組みを獲得しましたが、その手法も大熊さんが確立したのかな?

  • 田中 裕介
  • 田中 亜土夢

・・・この2人だけだった(苦笑)田中裕介が来るの?大熊、やるやん!とかなり驚いた記憶が強すぎた(苦笑)でも、海外からの出戻り組を狙うのは、今後、Jの移籍市場で注目されると思います。その走りとしては、とても偉大な業績だったと思います。

 
 

個人主義のサッカー → 協調性のあるサッカー

大熊さんの最大の功績は、この協調性のあるサッカーを趣向し始めたことだと思います。

 
 

2019年、友達の松本山雅サポーターと食事をする機会がありましたが、その友達曰く、

セレッソ、変わったよね。個人主義から完全にチーム主義になった。

大熊さんが来る前後では、本当に個人能力の高い選手が多く、その選手達は『まず、自分ありき』なプレーを優先していました。いつぞや、播戸と松井謙弥が雑誌で語ってましたが、その最たる選手が蛍だったようです(笑)

 
 

クルピ政権下では、自分ありきのプレーが許されていて、それが面白いプレーにも直結したりしてました。自分をアピールできる分、海外に行く選手、代表に入る選手が多くなりました。ただ、Jリーグの特性上、安定した結果を生むことはできなかったです。

 
 

それが大熊さんが来てからは、そこが厳しくなった印象が強いですね。まず、チームありき。その上で、個人プレーをしても良いよ的なプレースタイルを趣向する選手が多くなった印象です。

 
 

さっき省略したので(笑)少し健勇の話をしましょうか。

 
 

倒れない健勇

雑誌で、西澤アキが以下のような趣旨を話していました。

健勇のフィジカルはかなり強い。相手DFがファール気味に来ても、健勇は倒れない。逆に相手DFが倒れるので、ファールを受けている健勇がファールをしているように見られる。

こういうシーン、多く見ましたよね。で、健勇がイライラする(苦笑)ここでファールを貰っとけば・・・というシーンを何度も見ました。

 
 

アキは良いように話していましたが、裏を返せばあくまで自分ありきなプレー。自分で解決しようとする姿勢は、個人的には評価します。が、それで失敗を繰り返されると信用も少しづつ下がってしまう。健勇は2018年、得点も奪えなかった上で、こういう所でも貢献できていなかったかな?と思います。

 
 

・・・ただ、今年はまるで違う光景を見てました。

 
 

倒れる奥埜

少し心象悪い書き方ですけど(苦笑)、誉め言葉です。

 
 

健勇とは逆に、奥埜はファールを受けると場面場面できっちり倒れてファールを貰うのですよね。FWがファールを貰えれば、その分、自ゴールから離れたところでマイボールに出来るので、DF陣も楽が出来る。

 
 

2019年、FWの非ファール数で奥埜はJリーグ全体で2位だったそうです。 そういう意味で、 奥埜はチームプレーを年間通じて続けていたのですね。

 
 

健勇と奥埜を例に出しましたが、今年のセレッソは端々にそういったチームプレーを見かけました。どう振舞えば、チームに貢献できるか?を常に考える。大熊さんの志向するところだったんではないかな?と感じます。

 
 

大熊後のヒゲカジ

大熊さん退任後、ヒゲカジさんがチーム統括部長に就任。これの意味するところは?

 
 

ヒゲカジさんは、クルピ招聘の首謀者。どちらかと言うと個人主義のサッカーをイメージしてしまうのですね。どういった経緯で就任になったのかは分からないですが、大熊さんと真逆なイメージを持ってます。

 
 

改めて問われるチームフィロソフィー。どういう方向性に、チームを持っていくのか?サポとしては応援するしかないのですが、今後もセレッソを注目していこうと思います。

 
 

ともかく、大熊さん、お疲れ様でした。

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