【セレッソ】川崎戦:川崎にあって、セレッソに無かったモノ

セレッソ 1-3 川崎フロンターレ

@ヤンマースタジアム長居 2020年10月3日

悔しい、そして清々しい。相反するような感情が、混じったような感覚の敗戦。セレッソの試合で、こんな感情になった敗戦は初めてかも知れないですね。

 
 

それだけ、セレッソの選手も死力を尽くした、そして、川崎フロンターレが強かった。そんな感じなのでしょう。

 
 

試合を得点シーン中心に振り返ります。

 

[土塔えんじ:ご覧の提供でお送りします]

 

試合内容

●オウンゴールで先制を許す。

これは、もうしょうがなかったですよね。あの右サイドに振って、右サイドからシュート性のクロスを入れられたら、クリアするのもなかなか難しい。敵を褒めるしかないです。

 
 

●奥埜:同点ゴール!!

これは、綺麗に決まりましたね!この試合、奥埜が絶好調な印象でした。ジェジエウにイエローを出せたような、相手を背負いながらターンするシーンがとても効果的だったと思います。このシーン以外でも奥埜が起点になるシーンを何度か見ていて、『奥埜がやってくれそう』という期待を裏切らない同点ゴール!この瞬間では、行ける!と思ったのですがね。。。

 
 

●2失点目:

“秋田豊”的な思想ですけど(苦笑)ミドルシュートのチェックに行った坂元が、相手がシュートを打つ瞬間に半身になってしまうんですよね。最近の若手選手、特にオフェンスには多い印象です。秋田を持ち上げるわけではないですが、秋田の言う事に一理あるとも感じているのがこういうプレー。びびって半身にならずに正面を向いてブロックに行けば、面で受けることになり、シュートコースも限定されるエリアが増える。そういう形でブロックをしていればな・・・とは思いました。

 
 

●3失点目:

2失点目のショックが大きすぎて、正直、覚えてないです(苦笑)更に絶望になったのは覚えてますが・・・映像を再確認するのも嫌なので(苦笑)、ここでは割愛させて頂きます。

 
 

この試合、セレッソが勝つなら、後半中盤以降くらいの時間帯での先制点。具体的には、フロンターレ:三笘が入る前後くらいで先制。10人で逃げ切った神戸戦と同じ戦法で、木本入れての5バックで逃げ切り・・・そんな青写真を個人的には描いてましたが、なかなか思うように行きませんでした。

 
 

先制を許すと、その分、余計なパワーを使ってしまいますね。前節:仙台戦では上手く(再)逆転できましたが、川崎相手では追い付いても勝ち越せる余力がなかった印象。そういう意味でも、川崎が1枚も2枚も上だったかな?という印象でした。

 
 

そんなセレッソと川崎、どんなところに違いがあるのか?を検証してみたいと思います。個人的に感じている『サッカーの本質的な部分』の話になります。

 
 

川﨑の圧力の強さを生む要因

前回対戦時にも感じたことではありますが、川崎のサッカーは相手チームからして本当に圧力が凄いですよね。ずっと押し込められている感覚になります。

 
 

世間一般では、『ハイプレス・サッカー』なんて言われます。無論、我がセレッソも、時間帯によっては前線からハイプレスで相手にプレッシャーを与えるという事は出来ています。現在、リーグ2位のチームのそれも自画自賛ではないですが、かなりの高レベルでのそれを実践できていると思います。

 
 

それでも公平に見ると、セレッソは残念ながら、川崎を相手にした時に感じるような圧力は生めていないですよね。それは何故か?

 
 

個人的に感じているモノは、セレッソの圧力は、セレッソがボールを持っていない時に行われるモノ。それに対し川崎は、

ボールを持っていない時も、

ボールを持っている時も行われている。

ざっくり言ってしまうと、こんな感じです。守備時だけに適用されるセレッソに対し、川崎は守備時は勿論、攻撃時にも行われているんだと感じてます。

 
 

では、攻撃時に行われるハイプレスってどういうモノか?

 
 

川﨑のサッカーからラグビーを想像した。

少しだけ、ラグビーの発想を。

 
 

ラグビーの基本的なルールは把握しているつもりですが、細かいルール・戦術は知りません。ただ、基本的にはボールを前へ運ぶスポーツですよね。そして、自チームがボールをどんどん相手陣に運んで行くと、相手チームはどんどん押し込められて、プレッシャーを受け続けます。

 
 

トライが生れるかどうか?の瀬戸際の攻防って、見てるだけでも本当に力が入りますよね。ただ、応援しているチーム(先のW杯の日本代表とか)がプレッシャーを受け続けるのは、見るに堪えない時もあったりで。連続攻撃とか受けたら、本当にもうハラハラドキドキで。

 
 

でもって、これ・・・相手チームから見た川﨑のサッカーに似てません

 
 

前にボールを投げられないラグビーより、サッカーは自由度は高いと思います。それ故にサッカーでは見逃されがちですが、サッカーもラグビーと同じく、本質はボールを前に運ぶスポーツなんですよね。

 
 

そうなんです。川崎のサッカーって、どんどんボールを前に運んでくるんですよね。そして、基本的にはボールを下げない。特に、相手DF-MF間でボールを持てれば本当にボールを下げないし、さらに1歩でも前に進もうとする力強さも感じます。

黄色のエリアでボールを持てば、川崎はなかなかボールを下げない

ラグビーの攻撃と同じように、 ボールを下げなければ、相手DFはずっと攻撃のプレッシャーに晒されます。それ故に、攻撃時のハイプレスが成り立つのだな~と見ていて感じました。

 
 

僕はセレサポなんで、川崎のサッカーを常時追ってる訳ではありません。それ故、川崎の戦術的な部分で語るのは止めときますが、攻撃時のハイプレスでの効果について少し話します。

 
 

ベクトルで見る川崎のオフェンス効果

単純にボールを下げない・・・という視点で見ます。ボールを下げないと、どんな効果があるか?

 
 

MF-DFの間に、ボールを持って侵入されたとします。ボールを持った相手選手に対し、CB・ボランチが囲うような形にはなりますが、SBの選手もCBのカバーに意識が向きます。

ベクトル:意識の大きさ

矢印(ベクトル)の太さは、意識の強さを表すと考えて貰えると分かり易いかと。CBは当然、強め。ボランチもプレスバックをしようとする。サイドバックも、場合によってはカバーをする意識が働きます。こうやってみると、危険なエリアにボールを運ばれると、4バック+ボランチは、常にボールを持っている相手選手を意識せざる終えない形になります

 
 

そうなると、仮にボールを下げた場合なんかも、ボランチの意識は反対方向に引っ張られてたので、下げたボールに対しても反応が遅れます。

意識の裏に隙がある。


意識の裏にあるスペースというか、そこを利用されるイメージ。 川﨑のオフェンスは、本当にこれ繰り返しですよね。家長はセレッソにいた事もあるので分かりますが、ボールのキープ力抜群。ボールをキープして相手選手を引き付け、こういうスペースや隙をどこかしらに作るのが本当に上手いなと思います。

 
 

また、小林悠や、三笘、齋藤学なんかもそうですが、ボールを持てば必ず『1歩でも前に進む』という強い意識を感じます。そうなると、相手DFからすると、その意識に対して注意が向き、また、身体ごとそちらに引っ張られてしまうので、同じようにどこかしらに隙が出るんですよね。

一歩前にボールを運ぶ有効性

そして、その隙を川崎は見逃さずに突いてくる感じで。試合後に奥埜がコメントしてましたが、『ブロックを作っているだけでは守れない』と言う部分は、ここに起因しているとも感じてます。

 
 

当然、セレッソの選手も1流なのでその辺の駆け引きは頭にあるのは間違いないですが、こういったちょっとした差の繰り返しで、最後には大きな差になっているような印象でした。

 
 

セレッソにこの意識はあるのか?

セレッソの前に進もうという意識っという部分、 正直ベースで話すと不満です。

 
 

ボールを大事にするという思想自体は賛成ですが、大事にし過ぎている部分もあるかな?と感じていたりもします。戦術上、ワイドを幅広にとって、相手陣形を横に引き延ばして・・・と言うような戦術部分も大事だと思うのですが、根本的に前に進むという視点から、セレッソからアグレッシブさに欠ける印象は前からありました。

 
 

ただ、これは選手の質の部分かも知れません。セレッソのスタメンは、30歳前後選手がメイン。プロで10年前後、生き延びてきた選手。こういった選手は、行ける時と行けない時の判断がとても優れていると感じ、ロティーナ戦術においてはとても優秀な判断をしていると思います。

 
 

ただ、この2年、それだけでは勝てない時もまたあるように思います。無理でも行ってみる。行った後にフォローをする。そういう姿勢が必要なんではないかな?と思っています。

 
 

そういう意味で、若手選手の台頭って必須なんですよね。行ける時と行けない時の判断は甘いけど、行ってみて思わぬ効果を生んでくれたりする。そういう計算できない部分での期待感は、若手選手に感じます。現状で優勝が見えなくなってきた今、そういった選手に賭けてみるのも今後ありなのでは?と思います。

 
 

個人的に、藤尾翔太はそういう停滞感を打破してくれそうなプレーをJ3で続けていたので期待しています。西川潤もそうですが、 坂元に続く若手選手の台頭に期待したいです。

 
 

切り替え

あまり良い意味ではないですが、この試合はスパッと忘れることが重要なのかな?まだ、リーグ戦は終わっていない。

 
 

何が起こるか?まだ、分からない。何か起こった時に、後に続いていないと意味がないですからね。色んな意味で、今後のセレッソは更に注目したいです。

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