【セレッソ】横浜FM戦:CKのセレッソの守備と水沼宏太

セレッソ 0-1 横浜Fマリノス

2021.4.6 @日産スタジアム

セレッソ・トップチーム選手、チーム関係者のコロナ感染に伴い開催も危ぶまれた中での試合。試合が終わった今、普段とは違った意味でとても重要な試合になったのかな?と感じております。

そんな試合を振り返りたいかと思います。色々と感じるところもありますが、あくまで通常通りな内容にしていこうかと思います。

[土塔えんじ:ご覧の提供でお送りします]

試合内容

●代打:小菊。

クルピが感染者との濃厚接触者とのことで、チームに帯同できず。以前、クルピが退場になった時の次の試合は、マテルが指揮したと記憶してますが、マテルも濃厚接触者ということだったのかな?そこで、代打:小菊さん。

セレッソは色々とチーム方針が変わったりする歴史がある中で、一本筋を通せる所があるとするなら小菊さんの存在だと感じてます。本当に、セレッソにおいてのキーマンの1人。信頼のおける存在ですよね。

●西尾の安定感

この試合、ちょっと凄すぎましたよね。前田大然を完封。本当に、頼もしい!!!以前に、僕は以下のような記事を書きました。

ここで、僕はこの大分戦の時点で評価は据え置き。セレッソが守備に回る時間が多い試合での西尾のプレーを見れてない所から、そう考えてました。が、このFマリノス戦で一発回答してくれました。スポーツ新聞の見出しみたいであれですがw、本当にそんな感じでした。

森保日本代表監督が見に来ていたようですが、西尾のプレーを見て、どう感じたのか?お得意のメモ書きを見せてもらいたいですね(笑)

●藤田のフォロー

試合のハーフタイムに、Twitter(@dotou_eng_crz)でこんなツイートをしました。

この試合、初先発というかほぼほぼJ1デビューだった左SB:新井直人。かなり、新井が狙われてましたよね。西尾も普段とは違う左CB。連携面という所で、相手からすると狙い目であることは間違いのなかったところかな?と思います。

そんな中、頼れる主任:藤田。ずっと、この西尾ー新井の間のインサイドレーンをケアしてくれてたのですよね。本当に気が利く選手。ここを攻略されるか、どうか?は、試合通してのカギになっていた印象で、藤田が行けない場合は清武がフォローしてました。こういう所に、チームの結束力をみた気がしました。

●前田大然のスプリント数w

62回とか(笑)なんそれw

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そんな所で、本題に。今回の失点シーンについて。

個人的に、さすが水沼宏太やったな・・・と感じました。その辺りについて、セレッソのCK時の守備・・・というよりかは、サッカーのCK時の守備を含めて考察していきたいかと思います。

CKの守備とストーン

CKの守備において、だいたい2パターンが挙げられます。ゾーンとマンツーマン(あるいはこの2つのミックス)。

セレッソのCK時の守備について、良く知られてますがゾーンで守りますよね。マンツーマンで相手選手に付くのではなく、エリアを守る・・・という考え方。そして、ゾーンで守るときの1つの特徴的な存在が居ます。俗に、『ストーン』と呼ばれる存在の選手です(まあ、マンツーマンでもフリーマンととして、ストーン置いたりしますかね)。

では、その『ストーン』とは何か?その有効性は?と言った所を深掘りします。

ストーン

ストーンは、ニアサイド側のポストの横位に位置する選手のことを差します。

ストーンの位置

そして、このストーン役の選手は、たいてい『チームで一番ヘディングの強い選手』が担うポジションと個人的には理解しています。

実際、この試合では、セレッソのストーン役は進藤。普段であれば、歩夢が担当してます。もっと言えば、ロティーナ・セレッソ時代では、ヨニッチが担当してました。

ヨニッチが担当するくらい重要なポジション。では、そこにヘディングの強い選手を置く効果は?という所を見ていきます。

キッカー目線で見るストーンの効果

ストーンの効果を考える上で、一番、分かり易いのがCKを蹴る相手選手、キッカーの目線です。キッカーがボールを落としたい所は、どう考えても以下の所ですよね。

キッカーが狙いたい場所=ゴール前

所謂ゴール前、そこにボールを落とせばゴールに直結するような所。

ただ、ストーンにヘディングが強い選手が居ることで、このエリアにボールを落とそうとした時、キッカーの心理に以下のようなものが浮かんでくると思います。

ストーン役の選手の守備領域を外して、

その裏に落とさないといけない

そして、そう考えるとこんなボールを蹴る必要が出てくるのですね。

ストーンに対するキッカー心理

こうなると、相当、難易度の高いボールを蹴る必要が出てくるんです。求められるのは、以下のようなボールになってきますよね。

  1. ストーンに引っかからない高いボール
  2. ストーンを超えてから落ちるボール
  3. GKにキャッチされないような速いボール。

1、2については、外から巻いてくるボールも同様な意味合いにもなってくるかと思います。何れにしろ、キッカー側の難易度は相当高くなります

●1.ボールが低ければ・・・

キックしたボールが低ければ、ストーンにはじき返されます。

ボールが低い場合

●2.ボールが落ちなければ・・・

キックしたボールが落ち切らなかったら、精度を大きく欠くことになります。

ボールが落ちない場合

●3.ボールにスピードが無ければ・・・

キックしたボールにスピードがない(例えば山なりのボール)と、狙いの場所に落とせたとしても、GKに簡単に落下点に入られてキャッチされてしまいます。

ボールにスピードがない場合

このような感じで、ストーンにヘディングの強い選手を置くことは、物理的にも心理的にも相手キッカーにプレッシャーを与えることができるのですよね。

[土塔えんじ:いったん、CMです]

ストーンを避けるためファーサイド狙いは?

ストーンを避ける為、ファーサイドを狙うというのも1つの手ですが、そもそも距離が長くなると精度が落ちやすいのは明確ですよね。

ゴールライン方向を68mとして、だいたい以下ぐらいの距離があります。

  • ニアサイドを狙う場合: 30m前後
  • ファーサイド狙う場合: 40m前後

ストレートのボールを蹴り、最初の1m位で狙いからズレがたった5cm(0.05m)だったとしても、最終的にニア(30m)/ファーサイド(40m)に到達した時のズレは、比率で計算してみると、

  • ニアサイド30m: 1.5m
  • ファーサイド40m: 2.0m

これだけ出てしまうのですよね。当然のことですが、距離が遠くなればなる程、精度は落ちてきます

そして、ニアサイドと同様、相手GKにキャッチされないよう、それなりに速い、或いは高いボールが求められます。そうなってくると、更に精度を上げるのが難しいというのは容易に想像がつくかと思います。

改めてセレッソのCK時の守備

前置きが長くなりましたが、セレッソの守備はゾーンで、ストーンにこの試合では進藤。ストーン:進藤のすぐ裏、ここも失点につながる確率の高い場所なので、身長の高い(ヘディングが2番目に強い?)西尾が担ってます。

そして、それ以外は省きますが(苦笑)要はニアサイド・真ん中を重点的に固めて、ファーサイドは捨てる・・・というような守り方をしてます。捨てるという言い方は少し乱暴ですが、ファーにボールを入ってきても、ゾーンの中であれば、ある程度は守れる算段なんだろうな・・・という感覚。

この辺り、かなりセレッソの守り方が特徴的だと思うのですが、前述の進藤・西尾とジンヒョンを含めるとゴールエリアに7人も入ってるんですよね。

ゴールエリア内に7人入るセレッソのCK守備

残りの4人・・・と言っても、カウンター要員の清武を除くと3人で、ゴールエリアの外を見るような感じ。恐らくですが、ゴールエリアの外から打たれても、ゴールエリアの中の7人でクリアできるというクルピの算段なのかと。

また、ファーサイドは相手のキックの精度も落ちるので、固めるべきはニアサイド・真ん中を重点的に

このやり方で、スタメンの平均身長(約175cm)の割にはセットプレーは上手く守れている印象を持ってました。それでいて、9試合目にしてCKから初めての失点(セットプレーと言う意味では、FC東京戦の最後の失点を含めて2つ目)。

ここ、クルピマジックが発揮されてるな~とは個人的に感じてた所なんです。こういう損切の考え方がクルピは本当に上手い。このCKの守備もそうですが、端々にそういう所を感じてます。

許してくれなかった水沼宏太

ただ、そんなセレッソのCKの守備を搔い潜ったのが、水沼宏太

セレッソがストーン中心に重点的に固めてるニア・真ん中を避けて、ファーサイド。そして、セレッソが張ったゾーンの少し外で、セレッソの選手が対応しにくいような所。そこに、ドンピシャでボールを落とされました。

水沼が落としたところ。

ファーサイドの精度と言う視点では完璧なボールだったと思います。チアゴ・マルチンスにしっかりと当てられ、クルピの算段通りにゴールエリア内の選手が引っ掛けるも、ヘディングシュートが速くてクリアしきれず。結果、ゴール前でのゴチャつきが生ませてしまった印象でした。

全ては、水沼のキックの精度からやな・・・とうなだれましたね(苦笑)

本当に、このシーン。キッカーが水沼なのを知った時、嫌な予感がしたんですよね。セレッソ在籍時に、そのキックの精度を見てましたから。何も、ここでそれを出してくれなくても良かったのに。

とはいえ、セレッソに大きく貢献してくれた選手。その健在っぷりに、少し嬉しくも感じたのも正直な所でした(苦笑)

改めて試合開催をしてくれた横浜Fマリノスに感謝

最後に、セレッソの選手のツイートを引用させて頂きます。

この試合を振り返るにあたり、選手からもまず感謝が出ますよね。負けた悔しさも当然ありますが、日常のありがたさというかそういった部分にとても感謝したい気持ちがありました。サポの僕でそうなので、当事者中の当事者、セレッソ関係者の方々は本当により強く思われている事かと思います。

そして、そんな試合で力強く戦ってくれた選手達にも感謝。コロナ禍はまだまだ続きそうな感じですが、そういった日常のありがたさを感じられる良い機会と捉え、出来るだけ毎日を前向きに過ごしていきたいなと思いました。見てる側からそう思わせる位ひたむきさを選手から感じられて、本当に色々と多くのモノを得られた試合でもあったと感じてます。

セレサポとしても、試合開催に尽力して頂いた横浜Fマリノス関係者様に感謝したいと思います。また、最後になりましたが、コロナに感染したセレッソの選手、チーム関係者が1日でも早く回復されることを願ってます。

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