【U-24日本代表】スペイン戦:堂安・久保を下げた森保監督の思考
U-24 日本代表 0-1 U-24 スペイン代表
2021.8.3 @埼玉スタジアム2002
悔しい敗戦。本当に悔しい敗戦。
ただ、本当に感動した試合でもありました。普段、セレッソの試合レヴューがメインですが、彼らの奮闘を記憶に刻むべく、そしてあくまで冷静にレヴューを書いてみたいと思います。
[土塔えんじ:ご覧の提供でお送りします]
試合内容・雑感
●家長が10人いるようなイメージ
開幕前のスペイン戦を見てなかったですし、オリンピックのサッカーは日本戦しか見てなかったので、スペインはこの試合が初見でした。
欧州は、オリンピックのサッカーに力を入れないということがよく言われます。個人的に欧州サッカーに詳しい訳ではなく、スペインのメンツがどこまで本気か?までは分からないのですが、とても強かったです。
フィールドプレーヤー全員が、日本の選手のプレスを受けても慌てない。引き付けてパスを出せる。開幕前のアルゼンチン代表に半ば一方的にやられた試合でも感じましたが、フィジカルが強いので体を当てられてもボール・コントロールが乱れない印象でした。
言わば、手足の長い家長が10人居るようなイメージ(笑)そら、強いわな・・・な印象でした。
●日本も大健闘
そんなスペイン相手に、日本もかなり頑張ってたと思います。言うまでもないことですが(苦笑)
こういう強い相手になると、前線からのプレスが生命線になってしまいますね。FW-MFを中心に、上下動のとても多い試合になってしまった印象でした。正直ベースで、こういう所に世界との差を感じます。走らされる、疲弊する、プレスに行ってもボールを奪えない。
戦術的にハメられる・・・という言い方が正しいと思うのですが、その戦術を実行している選手にレベル差があってハメられてる印象でした。やっぱり、まだまだ差があるなと。
それでも抗い続けて、久保の左足シュートや前田大然のヘディング、延長後半の怒涛の攻め等、見せ場は十分作ってたと思います。それだけに勝ちたかったですよね。本当に悔しい!!
でも、大健闘だった日本代表に大きな拍手を送りたいと思います。
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そんな所で本題。堂安・久保のエース2枚替えの采配。
試合が終わった後、恐らくは賛否両論が出てくるであろうというのは想像がついてました。交代する直前の後半終了間際、堂安の単独ドリブルの見せ場もあって、個人的には、ここがやっぱり切り口になりそう!!と感じた矢先の交代でした。
この交代は何故行われたのか?その辺を検証してみたいと思います。
[土塔えんじ:いったん、CMです]
配置から見る森保監督の狙い
スペインの基本的なシステムは以下のような感じでした。この時、キーになる選手はアンカーのポジションにいる選手。
細かくポジションチェンジをしていたようでしたが、8番(ミケル メリノ)あるいは6番(マルティン スビメンディ)の選手が入ることが多かったと思います。
それに対して、日本のシステムを見返すと、このアンカーに入る選手にボールを持たさないように細心の注意を払っていた印象でした。
要は、真ん中の高めの位置でボールをコントロールされたくないという狙い。センターバックにボールを落とすかサイドにボールを回してくれれば良し・・・という考え方なんでしょうかね。
ビタビタのマンツーマンという感じではないですが、スペインがDFラインでボールを持つと、ボールとアンカーの間に入ってパスは出させない。
そのアンカーに対して、日本はトップ下の選手を当てるというやり方を取ってました。つまり、堂安か久保が相手のアンカーのチェックを行うというやり方。
そして、アンカーがDFラインまで降りた場合は、深追いはせずノーマルなトップ下の陣形を保つというようなイメージ。
今年のアウェイ・フロンターレ戦で、クルピが取った対策でも見かけましたが、
最近の1ボランチの対応の定石なんでしょうかね。 これは、日本が取れる最適な対応だったんではないかな?と感じます。
そして、そこを任された堂安・久保は攻撃は勿論のこと、守備でも重要な役割を果たしていたということになります。
久保・堂安の交代理由
ここまで書けば、ある程度、交代理由の考察内容は何となく想像がつきますかね?
個人的に考える、久保・堂安の交代理由は、
アンカーの対応がルーズになっていたから
だと考えます。
これには、実は伏線もあります。
準々決勝:ニュージーランド戦が伏線
少し思い出して欲しいのが、準々決勝:ニュージーランド戦。
この試合、終始日本が押し気味に進められてましたが、後半の相手の負傷交代を境に、日本が一気に劣勢になった局面がありましたよね。あの時も、実は相手のアンカーへの対応がルーズになってました。
この時、トップ下にいたのが堂安だったのですが、堂安が動けなくなってしまって、相手アンカーに好き勝手にボールを触られて劣勢を強いられる形になってました。しばらくして、堂安と入れ替わって久保がアンカーを見るようになって、再び試合展開が落ち着いてきたのです。
そして、今回のスペイン戦。試合を終始コントロールされて、久保・堂安とも運動量が減ってきたところ、劣勢を強いられる形になりました。やはりアンカーの対応がルーズになってたところかな?と個人的には感じます。
攻撃も守備も。2人は相当な負担だったんではないかな?と思います。
森保監督の思考
延長に入った時点で、試合時間は30分延長されます。30分をどう使うか?という所で、森保監督はまず守備から・・・と考えたのでしょう。
ロティーナさんもそうでしたが、優れた監督さんは何かしらのイベント・アクシデントがあった場合、まずはチームのバランスを保つことを重要視しますよね。ロティーナ・セレッソ時代の2020年:アウェイ神戸戦、都倉が退場になった後、NJを下げてCB木本を入れたのが印象的に覚えてます。
多分、堂安・久保を下げたのは、守備バランスを保つためだったのではないかな?代わりにトップ下に投入された三好が、スペインがボールを保持している際、相手アンカーに対して相当注意を払っている姿が見られます。アンカーを警戒しろ!という指示があったのは、間違いのない所かと。
結果論で上手くいかなかったということになりますが、意図は理解できる采配だと個人的には感じてました。
後1試合に期待。
これで、サッカーは男女とも敗戦。そして、男女ともフィジカルの強さの重要性を学ぶ結果にもなったかな?という印象です。本当、ここを埋めるのにどうすれば良いのだろう?と考えさせられます。
ただ、今は目の前の試合に集中。男子は後1試合、銅メダルマッチを控えます。
ここまで、本当にいい戦い方が出来ていると思うので、難しいかも知れませんが、気持ちを切り替えて戦い抜いて欲しいなと思います。そして、欲を言えば・・・・
森保、歩夢を出せ!!!!
最後、冨安が復帰するであろうので難しいと思いますが、歩夢の活躍も期待したいですね。