【セレッソ】傑志戦:チアゴ、瀬古歩夢を投入した意味。

セレッソ 0-0 傑志

@2021.7.9 @ブリーラムスタジアム

セレッソ大阪、ACLグループステージ1位突破!!!

何はともあれ、ホッとしたという所でしたね。試合終了後、ACLがツイートした選手の安堵した表情が物語ってます。

いや~、本当に良かった(笑)ACL出発前のリーグ戦では、散々な状況だっただけに、この結果はサポーターとしてもホッとできますよね。相手に恵まれたとは言え、ちゃんと結果を出したことは評価して良いと思います。

そんな感じで、試合内容と雑感を書いてから本題へ・・・といつものレヴューではなるのですが、少し趣向を変えて。いきなり本題へ(笑)

クルピは、イエローを1枚貰っているチアゴ、歩夢が途中出場させました。ここで、更にイエローを貰ってしまうとラウンド16は出場停止。そのリスクを冒してまで、何故、クルピは2人を出場させたのか?そんな所を検証してみたいと思います。

[土塔えんじ:ご覧の提供でお送りします]

試合前の前提条件

検証に入る前に、グループステージの最終戦というのは置かれてる状況がチームによって違うので、その状況に合わせた戦い方をチームはしてきます。レビューを書くにしてもそこをベースに考える必要があると思うので、まずそれぞれの前提条件を整理します。

まずは、セレッソから。

セレッソの置かれてる状況

昨日の名古屋の結果より、セレッソはこの試合で負けてグループJで2位になったとしても、勝ち点数で既に他グループの2位の上位3チーム以内に入ることが確定していた為、グループステージの突破は決定していました。後は、順位が1位か2位のどちかか?という問題。

ただ、当然ながら、次のラウンド16ではホーム開催を行いたい。その為には、グループステージ1位は必須(1位になってもアウェイの可能性はある)。100%アウェイになるグループ2位は避けたい。

●グループステージ1位になるための条件

セレッソがこの試合で傑志に負けた場合、勝ち点で並ばれることになる。そうなった場合のACLの順位決めは、以下の項目2.以降のルールによって決められる。

  1.  当該チーム同士の対戦における勝ち点の多少
  2.  当該チーム同士の対戦における得失点差
  3.  当該チーム同士の対戦におけるゴール数の多少
  4.  当該チームのグループ全試合における得失点差

(項目4.以降、ほぼセレッソ有利なので省略しますw)

前回MD2の傑志戦でセレッソは2-1で勝利していて、グループ全試合の得失点差も傑志に大きくリードしていることから、負けたとしても1点差以内であればグループステージ1位が確定。 (2点差で負けた場合、項目2.で引っかかりセレッソは2位)

だもんで、セレッソのこの試合の最低条件は、

1点差の負け以上の結果

という事になります。当然、勝てばOKですけどね。

傑志の置かれてる状況

上の流れで見てみても、当然、傑志はセレッソに対してビハインド。ただ、最後に直接対決を残しているのは幸運だったということでしょう。

上のセレッソの反対の条件から、2点差以上で傑志が勝てば、傑志のグループステージ1位が確定。それ以外の結果では、傑志はグループステージ2位になります。

ここで、2位になった場合がややこしくて、グループステージ2位チーム同士の争いを見る必要が出てきます。ご存じの方も居られると思いますが、F~Jまでの5グループ 5チームの2位の内、成績上位の3チームがラウンド16に進出するルールになってます。2位になった場合の傑志は、他グループの2位との成績比較になります。

この試合前のグループステージ2位の争いは以下。

  • グループF: パトゥム  勝ち点:12 得失点差:6 (6試合)
  • グループG: 浦項    勝ち点:11 得失点差:4 (6試合)
  • グループJ: 傑志    勝ち点:10 得失点差:3  (5試合)
  • グループH: 吹田    勝ち点:9 得失点差:9 (5試合)
  • グループI: 大邱     勝ち点:9 得失点差:12 (5試合)

仮に、傑志がセレッソに1点差で勝てば、2位チームの争いでは首位になり、ラウンド16に進出が決定(ただし、アウェイ)。

ただし、傑志がセレッソに負けた場合、吹田・大邱の両方が最終戦で負けないと、傑志はラウンド16に進めない。大邱の最終戦の相手が、大邱がMD2で7-0で勝った相手でもあり、大邱の勝利は間違いない見込み。そうなると、傑志のラウンド16への望みは相当薄い状態。

傑志がセレッソと引き分けの場合も、ほぼ同様。2位グループの2番手:浦項に勝ち点で並ぶも、得失点差で浦項に負けて3番手。その上で、吹田・大邱の両方が引き分け以下でないと、傑志はラウンド16には進めない。

そんな所で、傑志のこの試合の最低条件は、

勝利が必須。できれば2点差以上の勝利

負け・分けは、相当、厳しい。

ということになります。ってか、この2位の順位決めルール、ややこし過ぎますよね(苦笑)

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とりあえず、前提条件はこんな所で、チアゴ・歩夢が投入された意味を検討したいと思います。

チアゴ・歩夢投入の意味

傍から見ていると、後のラウンド16のことを考えると、イエローを1枚貰っているチアゴ・歩夢の投入はリスクでしかないですよね。でも、クルピは投入した。

なかなか、思考を読めませんが、仮説を立てるとするとこんな所かな?と思います。その辺り、3つほど書いて行こうとおもいます。

[土塔えんじ:いったん、CMです]

仮説1: ダムヤノビッチ対策(チアゴ)

傑志の攻撃の要と言えば、ダムヤノビッチ。1戦目でも、はっきりと苦しめられましたよね。

はっきりと歩夢が1vs1を制され、先制されたのは記憶にも新しい所ですね。逆に言うと、傑志は、ダムヤノビッチ以外に脅威はほとんど無かった印象。10番が少しやっかいかな?と言う程度でしたが、それもダムヤノビッチの楔が入ってからの話。

要は、ダムヤノビッチさえ抑えてしまえば、失点の可能性は大幅に減らせることが出来る。ならば、しっかりと対策をしましょうよ・・・というところ。

上の記事でも書いたのですが前回対戦時、チアゴはダムヤノビッチに完勝してたと記憶してます。そういう意味で、恐らく選手の格で言うとチアゴの方が上との判断。

加えて、ダムヤノビッチは、もうすぐ40歳になろうとする高齢。前回対戦時も、試合終盤はほとんど動けてなかったですよね。そんな選手が、この試合は前半から飛ばし気味に動いていた上での後半開始。格が上で、体力的にフレッシュなチアゴが抑えられないはずはない。

仮説2: ダムヤノビッチ対策(歩夢)

歩夢の投入は、ダムヤノビッチ対策はそうなのですが、恐らくは鳥海の疲労度を考慮して・・・だと考えます。

前半の動けるダムヤノビッチは、西尾がガンガン足を出して対応してましたが、その後のフォローを鳥海がしてた印象。スタッツを見たわけではないですが、鳥海の運動量が多くなっている印象でした。

そして、疲労度が上がってくると、ダムヤノビッチ対策が厳しくなってきます。以前のレヴュー記事にも書いたのですが、ダムヤノビッチの『重さ』に抗えなくなってくるからです。

上記の記事で書いた趣旨は、疲労度が上がると『単純に体重の重い方が有利になってくる』ということです。体重の軽い方は、体重差をカバーする為に筋力を使って抗いますが、試合終盤は筋疲労が起こり、それが出来なくなってくるという理屈。

2人の体重を見てみると、ダムヤノビッチ:81kg(Wikipediaより)に対して、鳥海:71kg(セレッソ公式サイトより)と10kg差があります。試合終盤のどこかのタイミングで、鳥海に相対されると厳しくなる可能性がある。

こうなってくると、ダムヤノビッチ対策として鳥海→歩夢の交代を考慮する必要があるのですが、歩夢も最初の対戦時にダムヤノビッチに制されて失点した経緯がある。そこを考慮すると、歩夢がダムヤノビッチと1vs1で相対した場合、イエローのリスクも上がってしまう。

だから、歩夢を投入するにしても、

  • ダムヤノビッチの疲労度がピークの試合終盤
  • 1失点しても問題のない試合終盤での点差(0-0)

で、投入されたのか?と思います。疲労度がピークの状態のダムヤノビッチであれば、フレッシュで筋疲労のない歩夢であれば問題なく抑え込める算段。加えて、1失点しても問題ないという余裕もある状態。無茶なアタックさえしなければ、イエローを貰うリスクも少ない。

こうやって見ると、クルピはダムヤノビッチ対策に細心の注意を払っていたのが読み取れます。その上で、歩夢のイエローのリスクを回避するための絶妙な時間的配分。この絶妙なバランス感覚は凄いな~と、試合中に唸ってました。

仮説3: セットプレーからの得点狙い(チアゴ)

これは、もうそのままですよね。

イエローのリスクを考えると、歩夢と同じくチアゴは試合終盤の投入でも良かったと思います。西尾の頑張り(前半のMVPは西尾だと思ってます)でダムヤノビッチを抑え込めてたお陰で、前半は上手く回せてましたから引き続き後半も・・・でも良かったのかと。

でも、そんな状況であっても、後半開始からのチアゴ投入。チアゴが後半開始から使われたのは、恐らくはセットプレー時の得点を取れる狙いがあったのは間違いないですよね。1点取ってしまえば、かなり優位に働くのは間違いない所でしたからね。チアゴに多くの得点機会を与える為の、後半開始からのスタートだったのではないかな?と考えてます。

チアゴのイエロー対策も、プレー機会の回数を考えると90分の出場より45分の出場の方がリスクが少ない。前述の通り、格はダムヤノビッチよりチアゴの方が上と判断。

これら、『ダムヤノビッチ対策』と『得点狙い』と『イエロー対策』の全て成立させる前提で、45分もチアゴに与えられるクルピ度量。このクルピのチアゴのへの信頼感は凄いですよね。 そういう意味で言うと、20分弱しか時間を貰えなかった歩夢はもっと頑張れ!!(笑)

グループステージ最終戦は視点を変える。

グループステージの最終戦というのは、試合自体が塩試合になったりしますよね。前述の通り、『置かれてる状況がチームによって違うので、その状況に合わせた戦い方をチームはしてくる』ので、そういった事が起こったりします。

レヴューを書く側からして、単純な試合内容のレヴューを書く旨味は実はそんなになかったりします。試合開始前から公平さがなくなる試合なので、単純な試合内容の分析は無意味というか、采配自体が本来見られるものでは無かったりするので。センターバック2枚替えとか、アクシデントでもない限り普通はやらないですよね(笑)

選手自身のプレーも怪我をしないことが前提になったり、今回の傑志のように無理にアタックして、結果、危険なプレーに繋がったり。多分、こういうのも本来とは違うものになっていると理解してます。

ですので、今回、ちょっと違った視点でレヴューを書いてみました。グループステージの最終戦も、普段と視点を変えれば結構、楽しいもんですね。(余談ですが、ロンドンオリンピックのグループステージ最終戦:日本VSホンジュラスがそうとう痺れる試合でした。)

何はともあれ、セレッソ関係者の皆々様、ひとまずお疲れさまでした!!

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