【論】その電源タップ、燃えるかも?首里城の火災原因を考察。

先日、沖縄の首里城正殿等で火災が発生しました。僕は首里城に行ったことがないのですが、とても残念に思います。早い復興、建物もそうですが、心に深い傷を負った方々の少しでも早い回復も祈っております。

 
 

火事から1週間と少し経った今、原因が特定され始めているようです。

 

首里城火災 コード溶けた痕30カ所 正殿北東の電気設備 火災直前に白い発光体の映像も

 

僕自身、今はシステムエンジニアやってますが、元々は電気工事屋(現場監督)をやってました。ここに書かれている、

コードが溶けた

と言う部分、延長コードや電源タップの類には、一般的には知られていない隠れたリスクがあるのをご存知でしょうか?今回、それにスポットを当ててみます。

 

[土塔えんじ:ご覧の提供でお送りします]

 

電源タップで一般的に言われるリスク

一般的に、電気の電源タップで危険とされてるは、タコ足接続ですよね。それにホコリ

  1.  タコ足で電源タップや分岐タップがいっぱい接続されている。
  2.  そこにホコリが溜まり、ショートしてしまう。

これらをイメージされている方が多いのではないでしょうか?勿論、それも正解です。タコ足配線を避け、コンセント周りは、埃が溜まらないように掃除しましょう。 

 
 

もう一つのリスク。これこそが、僕が首里城の火災となった原因ではないかな?と推測するリスクになります。

 
 

電源タップを燃やす動画

次の動画を見てください。ただ、かなり危険です。絶対に真似しないでください!

ストーブとドライヤーが動いている状態で、しばらくすると、画面の中央・下に置かれている電源タップのライトが消え、ドライヤーとストーブが止まることが確認できます。

 
 

この動画で起きたことを説明しますと、この電源タップはブレーカー付きの電源タップなんです。

 

ストーブとドライヤーで、ブレーカの容量を超えたからブレーカが落ちた・・・です。この辺りは、経験則で理解できる方も多いと思います。

 
 

ここで別の視点。もし、これがブレーカの無い電源タップならどうなるか分かりますか?その答えは・・・・

 

!!!!! 燃えます !!!!!

 

ド直球ですが(苦笑)バチッ!といってスパークする感じです。

 
 

ここで、少し疑問に持たれる方も居られるかもしれません。

 

分電盤のブレーカで保護されるのではないか?

家でブレーカが飛んだ時に、分電盤でブレーカの再投入されるような役割を担う方は、こういう疑問を持たれるかもしれません。

 
 

そういう方に向けて、お伝えします。その答えは・・・・

 

分電盤のブレーカでも、保護されない場合があります。

 

これ、本当に本当です。

 
 

ここのところがですね、元・電気工事屋として本当に危険だな~と感じるところなんです。このあたり、説明していきたいと思います。

 
 

分電盤(ブレーカ)と電源タップと電気機器の関係

電源タップ等で、よく『1500Wまで』みたいな表記が書かれています。先程の動画で見せた電源タップは、『1500Wまで』です。

 
 

この表記が表す意味は、

1500Wまでの電気機器なら接続できますよ!

と言う意味です。これは想像通りですよね。

 
 

対して、電気機器側:ストーブ『450W』、ドライヤー『1200W』です。合計『1650W』。

 
 

これの意味するところは、

ストーブとドライヤーを使うと『1650W』電力を消費しますよ!

になります。

 
 

簡単な数字の比較です。ブレーカ付き電源タップの容量(1500W)に対し、電気機器が必要とする電力は、150Wオーバーしてます。だから、ブレーカが飛んだ!ということになりますね。ここまでは、理解いただけるのも容易だと思います。

 
 

で、先ほど、家庭で分電盤のブレーカで保護されるかどうか?についてですが、ここで 改めてもう一度動画を見てもらいたいのです。

 
 

動画の電球が点き続けている意味

注目は、 電源タップが差し込まれている1つ上の差し込み口の電球です。

電源タップのブレーカが落ちても、電球が点き続けていることに気付きましたか?僕がこの動画で訴えたかった一番の部分がココです。

容量オーバーで電源タップのブレーカが落ちても、

家庭用分電盤のブレーカは落ちていない

こういう状況が発生している訳です。

 
 

調べてみると、我が家の分電盤のブレーカは20A容量。

20Aの我が家のブレーカ

20Aは、電力に換算すると2000Wまで供給が可能なんです。だから、ストーブとドライヤーの合計1650Wも供給可能。

 
 

つまり、

分電盤のブレーカ(20A=2000Wの場合)は落ちない。その上で、電源タップが燃えても電気を供給し続けます。

普通に考えても、コレ、かなり恐ろしく感じますよね。もう少し、詳細な結論として、

分電盤ブレーカ(20A=2000W)は、電源タップ(1500W)を保護出来ない。 

分電盤ブレーカに保護されない電源タップは、1500Wを超える容量の電気機器を接続されると燃えてしまう。

こういうことになります。

 
 

もし、分電盤を確認して、15Aのブレーカであれば問題ありません(100%ないとは言い切れないですけど(苦笑))。古い家の分電は、15Aのブレーカが多いんではないかな?と思います。それだと、15A=1500Wなので、1650Wの電気機器を接続するとブレーカは飛びます。

 
 

ただ、昨今、家電製品が多種多様なものが使用されるようになってきて、早々にブレーカが落ちないように家庭用分電盤ブレーカ容量も上がってきているようです。先にも記述しましたが、我が家のブレーカも20A(2000W)でした。

 
 

それに対して、2000Wまで耐えられる電源タップはほとんど売ってないです。本当、そんな馬鹿な!です(苦笑)売られている電源タップの規格が今現在の電気使用状況とあってないと、個人的には感じております。

 

[土塔えんじ:いったん、CMです]

 

ならどうしよう?対策は?

規格があってないと嘆いていても仕方がないので、その対策でも練りますか。

  1.  負荷分散
  2.  ブレーカ付き電源タップの使用
  3.  20A電源タップの使用

この辺りになります。とは言っても、項3.は現実的には売ってません。サーバールームで使用するようの電源タップになります。1個2~5万円(苦笑)現実的には、項1.2になるでしょう。

 
 

負荷分散

電気機器は、出来るだけコンセントを分ける方が良いです。これ、昔から言われていますけど、まずはこれです。1番に気をつけるべきは、電気機器として大きく電力を消費する『大きな熱を発生させる』機器。

  • ストーブ 
  • ドライヤー 
  • 電子レンジ
  • オーブントースター 
  • 炊飯器
  • エアコン

これらは、使い方にも寄りますが、大抵、1000Wを超える電気機器です。出来るだけ単独で接続できるようにしたいところです。

 
 

ブレーカ付き電源タップの使用

これは、動画での内容からその効果を見ることが出来たと思います。先に熱を発生する機器は、コンセントを分ける方が良いと書きましたが、現実的に難しい箇所って出てきます。

 
 

そういう場合は、ブレーカ付きの電源タップの使用を検討してみてください。

メーカーサイト

本当に事故防止に有効な一番の手段と感じます。

 
 

我が家のこのブレーカ付き電源タップは、電子レンジ+オーブントースター+炊飯器という最悪の組み合わせ(苦笑)をフォローしてくれています。

 
 

注意点。

節電用に、差し込み口毎にスイッチが付いている電源タップもありますよね?アレらは、単なるスイッチで、ブレーカの役割を果たしませんので注意してください。

 
 

また、ブレーカ付き電源タップと言えど完璧ではありませんので、前述の可能な限りの負荷分散はするべきです。

 
 

安全に電気を使うために

電気は大変、便利なモノです。便利な故に、一歩使い方を間違えると危ないモノです。

 
 

東日本大震災では電気の有難みを身をもって体験された方も多いと思います。今一度、首里城の火事も、電気を使う事への振り返りとしてみて欲しいなと、個人的には感じます。最後に、関西電気保安協会のリンクでも貼っておきますね。

 
 

正しい電気の使い方

 
 

※この記事は、以前に投稿した以下記事のリライト版です。記載内容は違いますが、言っていることは同じです。以下も参照頂ければ、有難いです。

 

【論】注意!タコ足配線は電源タップ1つでも燃える!

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